ライン

gardenTools

Care And Storage
手入れと保管

Looking Sharp - 研ぐ

 絶えず小石や砂岩に当たるくわ、ヨシやススキのような荒草を刈る草刈鎌、固い草木を切断するナイフ。どんなに素晴らしい刃を持つ道具でも、その本来の鋭利さは永遠に続くわけではありません。定期的に研いでやると良いでしょう。
 刃物には、それぞれに適した研ぎ方があります。日本刀は15種類もの砥石を使って研ぎますが、包丁なら荒砥と中砥の2種類の砥石があればたいていは用が足りるでしょう。また、くわやシャベルなら砥石より棒ヤスリの方が上手に研げるはずです。
 
包丁
 まず、園芸用品とは少し異なりますが、刃物の代表である包丁の研ぎ方を説明します。
 基本的に包丁を研ぐときは、水砥石(必ず水で濡らして使うこと。)の上で刃を前後させますが、切り刃が手前にあるときは押すときに力を入れ、引くときに力を抜きます。逆に、切り刃が体と反対側にある場合は引くときに力を入れ、押すときに力を抜きます。つまり、刃に沿って力を入れるということです。もし、これが反対になると、ちょっとでも角度が悪いと刃が丸まってしまいます。

 砥石には、様々な粒度のものがあり、荒砥・中砥・仕上砥に分かれています。この粒度とは、砥石のキメの細かさを表しています。包丁の刃先は拡大するとノコギリの刃のようにギザギザになっています。より粒度の細かい砥石で研いだほうがこのギザギザが細かくなるので、よく切れ、切れ味も長持ちするというわけです。仕上砥にどの粒度の砥石を使うかは、同じ包丁であっても研ぎ手によって異なるようです。プロの方であれば3000番以上の仕上げ砥を使われている方が多いようですが、技術によっては1400番でも十分という研ぎ師もいます。また、書籍には仕上砥は6000番と書いてあることもあります。店頭では12000番の超仕上砥も売られていますが、普通の包丁ならここまでは必要ないと思います。
 もし、これから刃研ぎを始められる方であれば、粒度600〜800番の荒砥と粒度1200〜2000番の中砥を使うと良いでしょう。更に上級になると仕上砥を使いますが、一般の方なら荒砥と中砥で十分です。
 砥石の上を走らせる回数や時間は、包丁の刃の状態によって変わってきます。刃こぼれなどが生じている場合は、それがなくなるまで荒砥で十分研ぎます。粒度の荒い砥石の方が短時間で多くの刃を削り落とすことができるので、荒砥と中砥の使い分けでもぎ時間が当然違ってきます。研ぎの熟練によっても違いますが、プロの研ぎ師なら1本砥ぐのに20分くらいで終わらせてしまいます。初めての方なら40分くらいで切れ味がもどるのではないでしょうか。
 刃研ぎでは、刃をできるだけ擦り減らさないように心がけてください。きっと、道具は長持ちするでしょう。
 左の写真は私が普段使っている砥石です。粒度は左から600番、1000番、6000番です。右の2つは祖父が昭和46年に買ったもので私が引き継いで使っています。一番左の600番は最近、燕市の青空いちで買いました。定価で3〜4千円のものです。6000番は硬くて使うのが難しいのですが、これで研ぐと刃はピカピカの鏡面に仕上がります。次は2000番を買おうと考えています。
 粒度、色、大きさ、台の有無、天然か否か、原産地はどこか、内曇、名倉砥石等、店頭に並べられた砥石は、意外と選択肢が広いことに気づくはずです。これは使う人それぞれの好みだと思います。ただ、包丁を研ぐなら幅70mm以上の砥石が使い易いと思います。
 じっくりと水を染み込ませてから砥石は使いましょう。私の場合はバケツに水を入れ、そこに砥石を突っ込んで水を染み込ませています。研ぎ終わったら、包丁や砥石をバケツで洗えるので便利です。
 砥石は片づける前に新聞紙の上に置いて乾燥させましょう。そうしないと次回使うとき、カビだらけになってしまいます。

ナイフ
 砥石は普通の水砥石ではなく、基本的には天然砥のオイルストーン(水の代わりに油を塗るものが多い。)を使用します。鋭利に刃をつけるために、エッジ通りに正確に刃を砥石に当て、砥石を薄切りにする感じでぎます。包丁と違い、前後はしません。ナイフのアゴから先端にかけて一方向にスライドさせてぎます。砥石は横向きにしたほうがぎ易いようです。包丁よりもきちんとぐのは難しいです。

草刈鎌
 包丁の砥ぎ師でも鎌をぐのは難しいと言います。砥石は広い面ではなく、側面の巾の狭い部分を使います。ホームセンター等で売られている鎌砥石を使っても良いでしょう。鎌をぐには、包丁を研ぐように包丁を動かすのではなく、砥石の方を動かしてぎます。
 砥石はじっくりと水をしみ込ませてから使ってください。(30秒くらいでしみ込みます。)
 左の砥石はホームセンターで298円で買ったものです。両面使える長方形の砥石で、荒砥側が粒度180番、仕上側が320番です。サイズは片側30mm×40mm×135mmです。
 この砥石は万能で包丁やはさみの研ぎにも使えます。
 左図に砥石の動かし方と切れ刃の角度を示します。しかし、あくまで参考です。これらには農家の人それぞれに得意な動かし方と独自の固定方法があるようです。
 刃物ではなく、砥石を動かすのが一番のポイントです。

 左の写真は草刈鎌の刃を拡大したものです。この刃は購入してから3年間、一度も研いでいません。刃先は丸くなったり、刃こぼれしています。
 上記の方法で研いでみたら、20分くらいで切れ味を取り戻せました。
 もし、砥石に触ったことのない方でしたら、専門家の所へ持って行って、研いでもらいましょう。(タウンページの”刃物とぎ”の項を探してみましょう。)どのようにして研ぐのかをよく見ておき、それから家で実行してみましょう。
くわ、シャベル
 まず、道具の持ち手が下に、刃の表(斜めになった側)が手前になるように万力等でしっかりと固定します。25cm程度の長さのヤスリを用意し、片手で柄を握り、逆の手のひらの付け根の部分をやすりに当てます。ヤスリを少し横に押しながら、手前から向こうに押します。次に力をかけずに、手前にもどします。素早くこの動作を繰り返し、もとの斜面の角度になるまでぎます。仕上げに、刃の背面を2,3回軽くぎます。


nextPage

ライン