「静かな水面にポツリッ、ポツリッと雨が降り、そして波紋が広がる。」、「水桶にポタリと落ちた墨の雫がゆっくりと流れる。」、あるいは「長い歳月を重ねた鮮やかな木の木目。」、ダマスカス鋼はこんな美しい縞模様を想像させます。
2種類の金属を重ね合わせて作る鍛造鋼。鍛造の過程で何度も折り返しや切り返しされるため、何層にも積層され、独自の縞模様が作られます。ちょうど日本の「金太郎飴」を作るかのように鋼を真っ赤に熱し、何度も折りたたむ職人芸です。この地道な工程により2種類の金属の長所が組み合わされるため、優れた特質を兼ね備えた鋼材に仕上がります。一対一で正面から鋼と向かい合い、とにかく地道でとても時間のかかる工程です。品質にこだわると性能が付加されます。
熟練職人の技が生み出した硬度と靭性(粘さ)を合わせ持つ鋼材。全ての鋼材の最高峰、まさに頂点に立つのが、このダマスカス鋼なのです。これを造れる刃物メーカーは世界中探してもごく僅かです。
5世紀にシリアの首都ダマスカスの鍛冶が作った剣が語源。日本刀の鍛造法のルーツもここにあると言われています。ほとんどの人がダマスカスブランドといえば、イタリアのバイパー、そしてFOXを思いだすのでは?
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